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デジタル写真技術研究会

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特別編(スタジオ撮影回):RAW 現像対決素材用の写真撮影
今回は特別編として午前からの授業。午後のセミナーで使用するRAW データ撮影のため、午前中に高木氏のスタジオで撮影デモが行われた。撮影するセットは素材用写真のためごくシンプルなものでストロボはモノブロックタイプのコメットCT150W を使用。デジタル撮影になってスタジオ撮影の現場でも小絞りの必要性が減って、高木氏のスタジオでもかつての1200W〜 2400W といった大型ストロボから、こうしたひとまわり小型のストロボが活躍する機会が増えているとのこと。これで今回の設定の人物半身用でF8 程度(ISO100)の明るさを確保。大型ストロボでは調光してもF16 程度となり人物用ではND が必要になってしまうとのこと。
尚、この程度の明るさはガイドナンバー40 程度の小型ストロボでも得られるそうで、氏もアンブレラのアタッチメント等を工夫してロケ撮などでは大いに活用しているとのことである。

スタジオでは他露出計の正しい使い方、カラーメーターの使い方などについても解説があった。(カラーメーターは特にデジタル時代になって出番が増したそうである)
D80 ではPC 接続によるカメラコントロール撮影を行ったが、画像の確認のみならず、細かいカメラ設定をPC 側で確認しながら行うリズムはスタジオ撮影ならではの独特のもので、今後もさまざまなメーカーの機種を実践してみたい。質問も相次いだが、N 会員に女性モデル役をお願いし、今後の現像比較用にCanonEOS1DMark U N、NikonD80、Fuji FinePixS3 の3 機種でRAW 撮影を行い、午前の授業を終えた。今後もこのようなスタジオ使用の機会を増やして、デジタル撮影の技術研修を続けていきたいと考えている。








二回目となった平野氏のPhotoshop 基礎講座では、今回も豊富なテキストと資料が用意された。
今回は誰でも知っている筈?…でもいまさら誰にも聞けないような話のエッセンス。
ベテランが多いはずのDIGITABLE 会員も1 時間を超える解説の間、一言の私語もなく食い入るように聞いていました。
「レベル補正〜ヒストグラムの見方」
画像の調子を判断する基本中の基本のヒストグラム。でも、本当に見方は分かってる?
今回も「ヒストグラムの上部で切れちゃったヤマの部分のデータはどうなるのか?」みたいな素朴な質問がありました。大丈夫!?中庸なデータを基準に表示範囲が限られているだけで、見えない部分のデータはちゃんと存在します。でも、いきなり聞かれるとギクリとしますね。もっともあまり部分的な諧調が突出しているデータはハイキーとかローキーとか中庸なデータではありません。一番偏っているのはイラストなどの平面塗りのデータだということです。
「JPEG 圧縮検証」
JPEG は圧縮を伴う保存形式です… 分かってはいても、どのくらい?なのかはきわめて曖昧ですねぇ。今回はそんな疑問に応えて低圧縮・中圧縮・高圧縮とそれぞれのレベルで5 回、10 回と保存を繰り返す実験をお見せいただきました。プリントで見ますと分かりましたねぇ、これが。
筆者は特に細かい部分よりも空などの滑らかな部分の変化が目に留まりました。保存度が増したものは空の諧調が階段状になっています。最高画質で1 〜 2 度の繰り返しなら許容範囲では?
というのが本日の現実的な結論でしたが、あなたの判断は如何に?尚、何も加工しなくても再保存してしまえば劣化するのでご注意を!
「8bit 画像も16bit に変更してから調整する」
表記の通りです。一見分からなくても、ヒストグラムで検証すると確実に違いがでているようです。JPEG 再圧縮と同じように特に滑らかな部分の差が大きいような気がしました。もっとも、少しの調整の場合なら作業性重視でということもあり、各自の経験と判断が必要なようです。尚、「32bit ならなお良いか?」という質問も出ましたが、今のところ調整方法が極めて限られるため、特殊な用途を除いては現実的ではないようです。 (※プリント設定についてのレポートは割愛します)






DIGITABLE の呼び物、月当番による事例発表です。
今月の“月番” 役は建築や学校写真で活躍されているAPA 会員の多田英毅氏。APA(財:日本広告写真家協会)の理事をされていた佐藤健治氏の門下生として、師の専門分野である建築写真の奥義を引き継ぐ俊英であります。
建築パースなどの関係から4× 5 などの大型カメラが必定であった多田氏のフィールドにも、もはやデジタルの流れがとめようも無く、次第にフィルムに取って代わって主流になりつつあるようです。多田氏の作例で目に留まったのは、「ソフト上でのパース補正のため、とにかくかなり大きめに写す」ということです。実演していただいたところ、かなり大幅な画面のケラレを生じるのが実感できました。素人目には仕上がりの倍くらいの面積が必要なんだナ…みたいな感じです。従って画素数がかなり必要だということも良く分かりました。
次に超広角レンズを多用するため、レンズの収差補正が必須だということ。なるほど建物の線が端に近いところではかなり曲がっているのですね!普段スナップや風景を撮っている分にはほとんど気にならないし、補正の仕方もよく理解してなかったのでこれはたいへん参考になりました。他の会員も自分のレンズの特性を再確認するいいきっかけになったのではないでしょうか?
もうひとつ、建築写真の世界では、空や明部・暗部の描写の両立を図るため、段階露光が多用されるのだな…ということ。いつも逆光の空の白飛びに悩まされている身の上では「やはりそうなんだ!?」という感じでしたが、フィルムラチュードに比べ諧調域が狭いデジタルゆえの宿命なのですね。スタジオの場合は光の明暗差を下げる=フラットにする、といったデジタル化のライティングの不文律がありますが、ライトコントロール出来ないケースはやはりパーツごとに適正な露出のカットを撮り重ねて、いいとこ取りの合成ということになります。スタジオの小物撮影も、屋外の建築物も、やはり同じ商品撮影なんだなぁ…。
最後に SILKYPIX 派の編集子としては、建築物のパース補正などにもSILKYPIX が有効なのでは?と思っていたのですが、多田氏によるとSILKYPIX で偽色モアレが生じたことがあり現在は使ってないとのことでしたが、原因は不明とのことでしたが 今後研究してみたいと思います。
もっとも多田氏の場合、要求されるパースの補正量はかなり大胆なようで、SILKYPIX では補正の限界量があるためPhotoshop でないと補正しきれないのかも知れません。不用物やゴミ消しも必須とのことで、そのまま同一ソフト上で修正も行えるPhotoshop の優位性は揺るがないのでしょう。
専門外でたまに無難な角度内での建築写真を撮る程度(入りきらなければ「これは入りきりませんねぇ〜」と甘えられる)の筆者との、現場の厳しさの格の違いを改めて感じました。





最後は高木講師によるRGB ワークフローセミナーの二回目。はじめは前回の続きのJPEG とRAWの使い分けについて。テキストを読みながらデジタルカメラの画像形成の初歩を学んだが、RGB の情報のうち実はG が他の2 倍情報量を持っている、このことを覚えて、との指摘があった。これは今後高度な画像処理を行う場合に各色の情報の違いを利用する場合があるとのこと。またJPEG とRAW との違いはピクセル数こそ同じだが、8bit と16bit(正確にはおおむね12bit だが16bit と同等と考えてよい)の違いと思ってみてもいい。
撮影後の調整を前提とするか否か?が判断の基準になる、といった点も強調された。とにかくJPEGかRAW か?というのは高木氏によればデジタル撮影の永遠のテーマである。今後も折に触れ、この問題を研究していきたいとのことである。
さて、お待ちかねのRAW 現像対決である。午前中スタジオ撮影したRAW データを駆け足ながらまずはCanonEOS1DMark U N の同一データのみCanonDPP、SILKYPIX、CameraRAW の3ソフトで現像してみた。時間の都合で各ソフトともほんのワンタッチに近い基本的な調整しかしていない。…にもかかわらず、いやなおのことなのか、ソフトによって顕著な現像結果の違いが出た。
たいへん重要で興味深い問題でもあり、今回時間の関係で出来なかったCaptureNX での現像を含め、他のカメラでの画像&詳しい検証は来月引き続き…ということになるが、ひとまずこれらの3 画像を下に掲載します。皆さんにはどのソフトの画像かお分かりでしょうか?

(尚、会員ページにはその答えと引き続きの検証結果を掲載します)
               
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